SOFT INFORMATION
PC版で復活した伝説の名作の正統なる続編。
コンビニでの廉価版セットも出回り、お値頃感は高い。
Software data
■ソフトタイトル■ アドバンスド大戦略98 〜STORM OVER EUROPE〜
■メーカー■ セガ/システムソフト/チキンヘッド 1998.4.2
■対応ハード■ Windows95/98が稼動するPC
■メディア■ CD−ROM1枚
■定価■ ¥9800
■現在の中古実勢価格■ ¥2000前後
あまりにも濃すぎるゲーム内容故、一から説明するのも野暮というもの。というわけで、この作品のベースにして未だ信者(?)の多いメガドライブ版からの主な変更点のみをピックアップして紹介する。

「対空防御射撃」システム
一番戦術面で重大な影響を及ぼすと思われる変更点。従来は対空ユニットが敵航空ユニットに対して移動、隣接して攻撃できたが、考えてみれば対空戦車が飛行機を追いかけて行って攻撃というのもナンセンスではある。
そこで、地上攻撃してきた敵航空ユニットに対して、迎撃という形でのみ攻撃できるという、まことに現実的なシステムに変更されている。さらにこの迎撃は直接攻撃を受けたユニットのみならず、その対空射程に入る味方ユニット全てが一度に反撃するという、地上攻撃機にとっては非常に厳しい内容となっている。いくら対空ユニットが密集していようと戦闘時は彼我のユニット性能差しか考慮されなかった従来のシステムとは一線を画す。
対空攻撃には大別して機関砲と大口径高射砲があり、前者はユニットへの攻撃や輸送機の降車に対して反撃し、後者は都市や空港への爆撃に対してだけ反撃するので注意が必要。

攻撃力と砲門数
これもゲームバランスを覆すほどの大変更。今回は武器の攻撃力とは別に砲門数が設定されており、実際の攻撃力はその攻撃力の数値×砲門数となる。単装だった機関砲が4連装ともなれば単純に4倍で、これは大きい。
一番このルールによる変化が大きいのがロケット砲。5連装、6連装は当たり前で10連装などという物もあるので、その破壊力は想像を絶する。
また、今回は長射程兵器の誤射判定を1門ずつ別々に行っているので、多連装の兵器は複数のヘックスに着弾することがある。上記のロケット砲などは著しく命中精度が悪いので、ほとんどの場合目標地点の周りにも着弾し、まさに無差別広域破壊兵器と化している。
しかし逆に戦艦などは主砲で攻撃すると、主砲の砲門数以上の被害を及ぼせない(8門の主砲なら1つの車両ユニットにクリーンヒットしても、8両しか減らない)という本末転倒の事態になってしまっている。このため艦砲射撃による敵地上ユニットへの攻撃は非常に弱体化している。(地回数を増やすとか何とか対処法が無かったのだろうか?)
また、何故かドイツの列車砲K5E(レオポルド)などは10門の扱いになっているようだ。

攻撃優先度の細分化
今回は攻撃優先度が移動前と移動後で別々に設定されている。これにより運用に変化があったのは主に自走砲、駆逐戦車の類だろう。前作では移動後の攻撃ができず壁専門だった駆逐戦車も、今回はその制約が取り払われた。しかし回転砲塔を持たない自走砲、駆逐戦車は待ち伏せ用兵器としての性格が強いと解釈されており、移動後の攻撃優先度がかなり低く設定されているので、注意が必要。

航空機の増加装備と「投棄」コマンド
元祖MD版では爆装しようが増装が付きっ放しだろうが心置きなく空中戦ができたが、何と今回は装備によって攻撃優先度のペナルティが付くようになった。これにより空戦を頻繁に行う戦闘機などはうかつに増装を装備することができなくなり、改めて機内燃料の搭載量の重要性を浮き彫りにした。
ペナルティが付くのは主に爆弾、増加タンク、ロケット弾で、これらを装備中は攻撃優先度が下がってしまい非常に不利になる。が、それに対する救済策もあり、「投棄」コマンドでこれら追加装備を投棄して敵機に備えることができる。しかし装備中に敵に攻撃された際には投棄できないので、あらかじめ自分のターンで投棄しておくことが必要となる。

重量の概念と橋
今まではティーガー、パンターが出揃えばひと安心のドイツ陸軍だったが、そんな状態もつかの間の夢だったのだろうか?。
これまで重戦車の欠点はゲーム上の移動速度でしか現れていなかったが、今回は遅いとかそういう問題ではなく「移動できない」のだ。
「重量」のパラメーターが加わった事により、その重量以下の耐久度の橋は渡れなくなった。そして当時のヨーロッパの平均的な橋の耐荷重量は約25t。要するにティーガー(54t)はおろかパンター(46t)も大半の橋を渡れないという状況になる。それでも渡るには、建設工兵で橋の耐久度を上げるか、列車を使って移動するしかない。
さらにW号戦車でもG型で25tとぎりぎりで、シェルツェン標準装備のH型では26tと、わずか1tの差で悩ましい状況となってしまう。
また、Ver2.00以降ではユニットの搭載区分も重量によるものとなり、あまりにも重いものは搭載できなくなった。

マップ外首都と敗北軍事費
敵や味方の首都が複数存在するのはMD版からだが、今回は首都がマップ外にある場合もある。そういった勢力には「敗北軍事費」というものが設定されており、軍事費がその設定以下になれば降伏するというシステムになっている。これにより奇襲等による首都一点集中戦法で降伏させることは不可能で、正面からの消耗戦を強いられる事となる。
しかしこの敵の軍事費というのが半端ではなく、後半では10万程度は当たり前で、30万以上という信じ難い額の場合もある。それを敵ユニットをひたすら潰すことによって消費させ、敗北軍事費(ほぼゼロと思っていい)まで削らなければならない。
マップによっては、いかに効率よく敵に軍事費を消費させるかという戦略的な要素がかなり重要なウェイトを占めるので、場合によっては補充に費用のかかる戦艦等にとどめを刺さずに見逃すということもあり得る。

他にもいろいろな変更点もあるが、とりあえず以上。